COLUMN

アポ率向上に役立つ診断ツールを共同開発 2017.11.22

[鼎談]
(写真左)フォーセンス 代表取締役 飯嶌 政治氏
(写真中)ライフスタイルマイニング 代表取締役CEO 本間 拓氏
(写真右)新建新聞社 代表取締役 三浦 祐成

フォーセンスは、アポイントメント取得率の向上を助けるというユニークな見込み客対象の診断ツールを共同開発した。その可能性についてフォーセンス代表取締役・飯嶌政治氏、ライフスタイルマイニング代表取締役CEO・本間 拓氏に語っていただく。聞き手は、新建新聞社代表取締役・三浦祐成。

「集客減っても、契約数は確保したい」に応えるアイテム
住宅購入検討者が「本当にほしい情報」の提供可能に

三浦:また面白いコラボをスタートされましたね。

飯嶌:ライフスタイルマイニング社の本間社長とは以前から交流があり、ユニークな発想に惹かれて情報交換をしながら一緒に仕事ができる機会を模索していましたが、「ライフスタイルNAVI」という営業支援システムを共同開発し、工務店さん向けに提供を始めることになりました。

次アポのきっかけをつくる
三浦:どんなシステムでしょうか?

飯嶌:住宅購入検討者・見込み客に設問に答えてもらうだけで、住まいや暮らしに関する深層心理を自動分析し、アポの確率アップなどの営業に役立てていただくシステムです。モデルハウスや完成見学会の来場者にタブレットを渡して楽しみながらこのシステムを使って質問に回答してもらい、「診断結果とそれをもとに作成したプラン提案をさせてください」と次アポを取る。“次アポ取得のきっかけ”をつくるしくみだと言えばわかりやすいでしょうか。

本間:最大の特徴は心理学の一分野「行動分析学」を応用している点です。通常の性格診断や占いとは異なり、行動分析学は類推・予測を一切はさむことなく、実際の行動に基づいた分析を行います。専門用語で「行動随伴性」と呼びますが、行動とその理由をパターン化して住宅診断に活用した初のシステムです。

深層心理を効率よく引き出す
三浦:よくあるチャート式診断やヒアリングシートとは違う、と?

本間:違いますね。「子育てのために家を建てたい」と来社されたご家族がいたとします。ヒアリングすると奥様は「お父さんと子どもを遊ばせたい」とおっしゃる。ですが、行動分析学をもとに掘り下げてお聞きしていくと、奥様の潜在意識は「お父さんに子どもを遊ばせている間に自分の時間をもちたい」にあることがわかった。こんなイメージです。

三浦:なるほど。真のニーズを掘り起こせる可能性がある。

本間:この場合、表層的なニーズである「子育て」でプランを提案しても響かなかったのが、真のニーズである「家事ラク」や「時短」につながる提案をしたら、「そう、そんな提案がほしかった」と次のステップにいく確率が高まるはずです。

三浦:顧客が自分の真のニーズに気づいていないケースも結構ありますよね。それを引き出せれば「この人なら信頼できそう」と思ってもらいやすい。あとは精度ですね。

本間:何度も実験を繰り返しているので精度はかなり上がっています。トライアルで使っている工務店さんからも、その点を評価していただいています。

飯嶌:心理学云々と聞くと、うさんくさいイメージがあるかもしれませんが、中身を知るといろんな場面で活用できそうだと感じました。

需要減の不安にどう対処する?
三浦:最近の工務店さんの集客・営業の状況はどうなんでしょうか?

飯嶌:足下の集客は上向きだと思います。とくにフォーセンスの会員工務店さんは。でも数年以内にパイが減るのは確実で、それに対する不安はかなり大きいですね。

三浦:集客については、手法が多様化しているぶん、コストが上昇している工務店も多い。HPはもちろんインスタグラムもやらないといけないし、地元の住宅雑誌も捨てられない、といったように。また、集客数を増やしても契約率が上がらなければ意味がありません。

飯嶌:先ほどの話とつながりますが、需要が減り、集客が減るなかでまず改善すべきは“アポ率の向上”です。これまで10組集めて2組契約できていたのが、4割市場が小さくなるのだとすれば6組集めて2組契約しなくちゃいけない。次アポ取得はこれまで以上に重要になってきます。

なぜ次アポ取得は難しいのか
三浦:「次アポが取れない」という悩みをよく聞きます。どうして次アポが取りにくくなっているのでしょう?

飯嶌:次アポを取るための常套手段は無料のプラン作成や資金相談ですが、お客様からすると「無料ならやっておこうか」という程度ですし、今はどこでもやっている。それだけだと積極的に会いたい理由にならなくなっている。

三浦:確かに次アポをとる手段ってどこも同じで、差異化が難しい。しかも、建築家のプランやFPの資金計画ならまだしも、自社でつくったプランや計画に価値を感じてもらうことは簡単ではないですね。

営業されたくない心理
本間:消費者心理の面から言えば、お客様は自分がそこで買うかどうかを決めていない段階で営業されることをすごく嫌います。たとえば、洋服屋さんに行って、いいなと思うコートを手に取った瞬間に店員に「試着どうですか?」と言われると、ほしい気持ちが一気に冷めるでしょう。値段すら確かめていない状態で声をかけられると、拒絶反応が起きる。住宅営業も同じで、「とにかくお話をきいてください」で次アポを取るのは難しい。リクルート社のスーモカウンターが好調を維持していますが、それは個人情報を明かさず、複数の住宅会社から提案を受けることができ、必要な情報を聞き出せるからです。

三浦:住宅購入検討者の本音は“営業されない状態”で情報をあつめて判断したい、と。工務店が次アポをとりたいという理由やタイミングと、彼らのニーズとタイミングが合っていないんですね。納得のいく話です。

価値ある情報なら…
本間:一方で、普通は知りえない、本当に必要な情報−−家族全員の深層心理や、ニーズ・課題にぴったり合うプランを教えてくれるなら、直接会って詳しく話を聞きたいと思うはずです。それを手助けするツールが「ライフスタイルNAVI」なのです。

飯嶌:自社でつくるプランに価値を見出しにくいのは、“根拠がない”からではないでしょうか。本当に私たちにぴったりのプランなの?、と。行動分析学をベースにした診断結果から考えたプランとなると、そこに信用に足る「根拠」が生まれます。

三浦:設計上手な建築家はヒアリングで深層心理や真のニーズを読み取ってぴったりのプランを1回で提案できます。それをシステム化し精度を上げた、そんなイメージを持ちました。

飯嶌:提案の精度も上がりますし、次アポの確率、営業の効率も上がる。とくに初期のプラン提案にそこまで人材や時間をつぎ込めない、という会社におすすめしたいですね。また、住宅って意外と衝動買いされるので、背中を押すツールにもなるんじゃないかな、と思っています。

本間:この診断システムを病院におけるレントゲンみたいな位置付けにしたいんです。医師がレントゲン結果をもとに治療方針を患者さんに示すように、住宅営業は診断結果をもとにその人に合った提案をする。そういう文化をつくるのが理想です。

三浦:定着すれば、日本の家づくりが変わるかもしれません。少なくとも、住宅営業の人柄や価格の安さだけで依頼先を選ぶ、というケースは減るでしょうね。活用方法はいろいろと思いつきます。

飯嶌:お客様の立場からすると、家づくりのプロセスに楽しみが1つ増える。自分の深層心理を知る驚きがあるでしょうし、それが住宅プランに反映される面白さもあると思います。

工務店経営全般をサポート
三浦:今回の話を聞かせていただいて、商品化住宅の提供に注力していたフォーセンスさんが営業分野の支援にも力を入れていくんだ、と少し驚きました。

飯嶌:「商品化住宅を手に入れたおかげで集客に困らなくなった」という会員さんは多く、デザイン住宅の商品開発においては一歩抜きん出ているという自負はあります。とはいえ、工務店経営はいい家をつくればおしまいではなく、それこそアポを取って契約につなげるまでの過程もかなり大事。工務店支援会社としては当然そこをサポートしたいという想いがあります。今回の「ライフスタイルNAVI」に関しては、より多くの方に使っていただきたいシステムになったので、対象を会員以外にも広げました。

三浦:この先を見通すと、もし消費増税が予定通りなら、マイルドでも駆け込みは起きるでしょう。その際は営業効率をいかに上げるかを考えざるをえない。その先の新築市場の収縮は飯嶌社長がおっしゃったとおりで、いずれにしても営業の効率、そして精度を高めることが不可欠になります。

飯嶌:「ありそうでない」ツールですから、鼻の効く人ならすぐにピンときて、いろいろ活用していただけると思っています。

コラム一覧へ戻る